力作ぞろいの今回の19回愛情お料理コンテストは、とても感動的なコンテストであったと思います。
大賞に輝いた「我家のおまつり鯛」は、普段調理しにくいという偏見によって、なかなか使われなかった1匹の鯛を使ったところが豪快でした。
鯛の中に、ごはんをつめるというアイデアはプロの世界ではよく使われますが、どうしてもプロフェッショナルすぎて無理というハードルがあったと思います。事前にもち米を炊いておくことで、さほど難しくもなくこの料理を完成させているのですが、こうした豪快さと客前料理をコンテストに持ち込んだ着眼点が高い評価を得たと思います。
「ベジフル三色リース」は、一次発酵、二次発酵というパンを作るときのハードルを電子レンジ20秒でクリアし、たった1時間の短い時間の中で完成品にしたところがすばらしかったです。三色の野菜のきれいな彩りが見事でした。また金賞5位の「博多菜彩だいふく」は郷土色豊かな上、れんこん、ねぎ、ひき肉などをあっさりとした味で楽しませてくれる、非常に新しい料理でした。ここでも、白玉粉をやわらかく加熱するのに、電子レンジを上手に使い、簡単なお餅を作り出したところが若いお母さん方がいくらでも真似をして作れるというとても貴重なアイデアでした。
これを応用して、小豆の餡でもいいし、それこそ苺大福のような、フルーツの大福も出来るでしょう。「播州の吹き寄せ」や、「我が家の新しい伝統箱茶漬け」、失われかけていく古い料理を若々しい視点から色鮮やかによみがえらせてくれたところなど、非常に嬉しく、そして美味しくいただきました。 今までのコンテストの中で、少し問題になりつつあったのが、若い方々が、料理よりもケーキやクッキーパンを好んで作る傾向にあり、何年間かこれらのものが、上位に食い込むことが多かったことでした。
しかし、今年は、料理として子供からお年寄りまでが楽しめる主菜中心だったことが、特に評価できるでしょう。コンテストのレベルは毎年あがってきているように思います。このコンテストをきっかけにして、家庭料理を何よりも大切に楽しく作り食べる家庭が日本中で増えていくことを心から期待しています。
【審査委員長】 菅原 明子 |